石川県独自の酒米「百万石乃白」とは?
今回は、石川県が10年以上かけて開発した酒米、「百万石乃白」の紹介です(^^♪
「百万石乃白」は、石川県が開発した酒米
「百万石乃白」は、タイトルの通り石川県が開発した酒米で、酒米の王様「山田錦」にも方を並べるほどの出来だといわれています。
背景として、石川県での大吟醸酒の醸造には兵庫県産「山田錦」が主に使用されており、酒造組合連合会から石川県育成の大吟醸酒に適したオリジナル品種の育成が求められていたとされています。
上図の「石川酒68号」が、いわゆる「百万石乃白」と呼ばれる酒米です。
「山田錦」と「05酒系83」を交配させて出来ており、
・精米時に割れにくく、高精米が可能
・タンパク質含量が少なく、タンパク質の質が良い
・醸造した酒に含まれる香気成分が多く、香り高い酒になりやすい
といった特徴があります。
少し言い換えると
・吟醸・大吟醸酒などと相性が良い
・旨味や雑味などと表現されるアミノ酸の生成が少なくなり、すっきりとした味わいの酒になりやすい
・カプロン酸エチル(リンゴや洋ナシの香り)や酢酸イソアミル(バナナの香り)が「山田錦」で造ったものより多い
といった感じになります。
3つ目はわかりづらいかもしれませんが、高カプロン酸エチル生成、高酢酸イソアミル生成などの酵母を使わずお酒を造ると、
「山田錦」よりも「百万石乃白」のほうが香りが高いことが分かります。
ちなみに「百万石乃白」は愛称であり、正式名称は「石川酒68号」です。
上図に載っている新潟の酒米「越淡麗」も愛称であり、正式名称は「新潟酒72号」といいます。
ただ、相手に伝われば「百万石乃白」でも「石川酒68号」でもどちらでも構いませんね(^^)/
これらの特徴を見るとかなり魅力的な酒米であると思いませんか!?ただし、歴史が浅い分、蔵元もどのように仕込めばいいかわからず手探りな状態です。
それでも、お客様からかなりの高評価を受けているため、まさに「ダイヤの原石」といったところでしょうか。
これからどれだけ磨かれていくか、楽しみですね(^^♪
私見で恐縮ですが…
百万石乃白が発売されて数年が経過し、発売当初は指を折るほどの蔵元しか造ることが出来なかったものの、百万石乃白の収穫量も増え、こんにちでは各蔵元から百万石乃白を使った日本酒が発売されています。
そこで、勝手ながら百万石乃白のざっくりとしたイメージを共有させていただければと思います。
〇香り
香りは主に酵母による影響を受けやすいのですが、比較的「金沢酵母」を使っている蔵元が多く、華やかな香りよりかは上品で落ち着いた香りを楽しむことが出来ます。…こんなことを言うと、いろいろと言う方がいますが(*_*)(笑)
香りが良いとどうしても飲み飽きしてしまいがちですが、百万石乃白を使ったお酒は旨味も感じられ飲み飽きせず食中酒としても十分楽しむことが出来ます。
〇味わい
日本酒の味は蔵元の個性ですから、幅広いものがございます。
しかし、百万石乃白を使ったお酒は純米吟醸や純米大吟醸として発売されている商品が多く、スッキリとした味わいのお酒が多いです。
純米のお酒はまだ少ししか見ていないため、現在では何とも言い難いところです。
しかし、全体的にお米の旨味が感じられ、飲み飽きすることがないようなお酒ばかりです。
〇熟成
百万石乃白は、1,2年以上の長期熟成には向いていないのかな…?という印象です。発売されてまだ数年ですから、長期熟成されたお酒を飲んだことはありませんが、お酒が仕上がってから3か月~半年くらい経ったものが香りや味のバランスが良いものが多い気がします。
搾ってすぐのお酒はスッキリとしており非常に飲みやすいのですが、裏を返せば何か一つ物足りないという印象があるため、
物足りないと感じる方は、搾ってすぐのお酒よりかはやはり3か月~半年熟成させたほうがより美味しく楽しめると思います。
2020年で創業50年を迎え、3代ともに健在な金沢の酒屋。
「石川の日本酒でたくさんの人を笑顔にしたい」という夢を叶えるために、
大学卒業後、石川県内の酒蔵(酒蔵加越)で3年間勤め、家業に就きました。
売り手や飲み手の目線はもちろん、造り手の熱い想いも一緒に届ける酒屋です。
日本酒と料理のペアリングや季節のオススメなど、多角的な面から日本酒のご提案をさせていただきます。