日本酒は開封したら「何日で飲み切らないと」いけないの??
私、たまに日本酒バーでお手伝いをさせていただく機会がありまして、
その時よく聞かれることがあります。
「日本酒って封開けたら何日で飲まないといけないんですか?」
実は、店頭で日本酒を買いにきてくださるお客様の中にもたまに聞かれます。
この答え、実は…
検索ページによって答えがバラバラ
なんですよね。
「3~5日以内に飲みましょう」って書いてあったり、「一週間程度」と書いてあったり…
どれを信じていいの!?ってなりますよね(笑)
そこで、元蔵人 3代目酒屋店主である私の見解をお伝えいたしますと…
開栓後一か月程度であれば味の劣化は感じません
一か月!?3~5日以内と比べると相当の差ですよね。
ワインは開栓してから白ワインが3日程度、赤ワインが5日程度って聞いたことがありますが、
もしかしたら、そこから無理くり日本酒にも当てはめたのではないでしょうか。
スパークリング日本酒であれば、開栓後3~5日もすればガス感がなくなるのであながち間違っていないのですが…
日本酒は空気に触れさせることでだんだん酸化していき味が変化していくのですが、
実は、空気に触れさせることで味が良くなるお酒も存在するのです。
実は当店で取り扱いのある日本酒の中にも存在してまして、
まさに池月 うすにごりが開栓してからだんだんと味が良くなっていくお酒だったのです。
一度飲んでみたい方は、リンクもつけてありますのでそちらからご覧ください。
このお酒を開栓した時はしぼって間もない時でした。開栓した直後に飲むと、下の上でピリピリッとした感覚だけが残り、
ちょっと期待外れの味だったことを覚えています。
あれ…今年は上手くいかなかったのかな…?
と思い、開栓してから一週間してからもう一度飲んでみると…
旨いっ!
開栓直後の味とは打って変わって、めちゃくちゃ旨くなっていたのです。
空気となじませたことで、味が良くなる典型的な例でした。
しかし、お酒造りは毎回出来が異なります。
子育てと一緒で、どれだけ同じくらい愛情を注いでも、手間ひまかけても、必ず同じように成長はしないのです。
ですから、この池月 うすにごりも、毎年空気を触れさせることで味が良くなるのかと言われたら
それは”NO”といえます。
お酒の出来が毎回異なるからこそ、そのお酒に適した飲み方や開栓してから何日までに飲むのがベストかが言えるのです。
それを説明できる方が少ないから、とりあえず「3日~5日以内」といった漠然とした情報が出回ったりするのですね。
空気に触れる時間が長ければ長いほど味の変化(劣化)は感じられます。
しかし、それは開栓後毎日封を開けて瓶中の空気を入れ替え続けた上で、約一か月程度は、味の劣化を感じないのです。
そもそも、一升瓶を一か月以上かけて飲まれる方はごく少数かと思います。
そのような方はだいたい四合瓶をお買い求めになられます。
つまり、瓶が空く頃までにお酒の劣化を感じることはごく稀だということです。
ですから、
「日本酒って封開けたら何日で飲まないといけないんですか?」
と聞かれた際、私は
「お酒の劣化を心配する必要はありません。かえって空気に触れることで味が良くなるお酒もあるくらいです。」
とお答えしています。
2020年で創業50年を迎え、3代ともに健在な金沢の酒屋。
「石川の日本酒でたくさんの人を笑顔にしたい」という夢を叶えるために、
大学卒業後、石川県内の酒蔵(酒蔵加越)で3年間勤め、家業に就きました。
売り手や飲み手の目線はもちろん、造り手の熱い想いも一緒に届ける酒屋です。
日本酒と料理のペアリングや季節のオススメなど、多角的な面から日本酒のご提案をさせていただきます。