1970年に庄田酒店として創業、1988年に有限会社庄田酒販として法人化。
2020年に創業50年を迎えることが出来ました。
創業してから
・島田酒店より独立し、1970年金沢市八日市で「庄田酒店」を開業
創業当初は味噌が1袋しか売れない日もあったそう。
当時は御用聞きで一軒一軒注文を聞いて回り、酒や味噌、醤油などを各家庭に配達していました。
・1987年に現在の店舗に移転、翌年に有限会社庄田酒販として法人化
当時は周辺にコンビニがなく、酒や味噌、醤油以外にもパンや雑誌など、あらゆるものを販売していました。
・2020年に創業50周年を迎える
三代目 庄田佑斗
・20歳の時、菊姫 B.Y.大吟醸を飲み日本酒の奥深さを感じ、以来日本酒にハマる
・就職活動時、「好きを仕事にしたい」の想いで家業を継ぐことを決意
・大学卒業後、酒蔵加越にて3年間酒造りを学ぶ
・蔵人の頃、「試飲販売会」や「日本酒の会」などを通して日本酒を飲む方の笑顔を見ることが楽しいと感じ、直接お客様との関わりをもつ仕事をしたいと決意
・全国各地の日本酒を飲み比べる中で、石川県の日本酒が一番飲み飽きせず飲んでいられることに気づく
・「石川の地酒を通して、たくさんの人を笑顔にしたい」を信念の元、家業へ
現実…
家業に戻り、一番驚いたのは売上の低さでした。
売上が低い=そこまで社会に必要とされていないと思っているからです。
法人成り当初と比べると売上は1/5まで落ち込んでいました。
創業当時から地域に根差した店づくりを行ってきましたが、これまでと同じ方法では通用しなくなってきたのです。
そこで、まずは私自身の手の届く範囲で「日本酒を通してたくさんの人を笑顔にしたい」
また、創業当時からの想い「地域に根差した店づくり」のために出来る限りのことをしたい。
ただビールや酒、飲料を売っているだけではやっていけません。
商品の数を増やしたからといってお客様が増えるわけではありません。
だからこそ、3代目 庄田佑斗は日本酒にこだわっています。
しかし…日本酒の市場規模は年々減少しています。なぜ、それでも続けるのか。
「日本酒を飲むときが幸せだから」
「日本酒を飲むときが幸せ」
日本酒好きの方はそのように感じている方が多いのではないでしょうか。
私もその一人です。
私は、酒屋として「日本酒の楽しさを伝えたい」という想いと、
「もっと日本酒の魅力に気づいて日本酒を飲む人が増えてほしい」という夢があります。
昔はアルコールといえばほとんど日本酒とビールだけでした。
やがて焼酎ブームやウイスキー、リキュール、スピリッツなどさまざまなものが台頭してきました。
それと同時に日本酒の市場規模はだんだんと小さくなっていき、ビールの市場規模と比較すると約1/7ほどとなっています。
また、アルコール離れなど騒がれていた時期もありました。
しかし…アルコールの消費量は戦後からほとんど変わっていないのです。
日本酒だけの消費量だけを取り上げると、戦後からだんだんと日本酒の消費量は減っています。
ただ、それは他のアルコールとパイを分け合っているだけにすぎません。
日本酒のイメージを変えたい
日本酒のイメージを聞くと、「酔いやすい」「次の日に残る」「アルコール度数が高い」などと言う方が多いです。
これは、いわゆる「三造酒」の悪いイメージがそのまま伝わっているような気がします。
三造酒とは、太平洋戦争前後の米不足の時代に、醸造した日本酒にさらに2倍の醸造アルコールを足し、
結果的に醸造した時より3倍の量の酒を造ることからそう名付けられたそうです。
現在の酒造りでは「三造酒」と呼ばれるお酒を造っている蔵は聞いたことがありません。
少なからず、石川県の蔵元ではそのような造りをしている蔵元は一切ありません。
また、若い方々の中では飲み放題などで初めて日本酒を飲む方が多いのではないでしょうか。
しかも、煽られて飲んだりすることで日本酒に対するイメージは最悪…なのではないでしょうか。
失礼を承知で申し上げると、初めて飲む日本酒が飲み放題で出るようなお酒だと、日本酒にいいイメージを持つことは出来ません。
企業努力によって安くて旨い日本酒を造られていることは承知の上で、初めて日本酒を飲む方にはオススメ出来ないなぁと感じています。
日本酒のネガティブなイメージだけが残っている…というのが現状です。
しかし、日本酒の悪いイメージの中に「美味しくない」と言う方はほとんど聞いたことがありません。
あくまで次の日のことを考えると、敬遠してしまう。といったイメージを持たれる方ばかりです。
日本酒を身近に…食中酒として楽しんでもらうために
仕事が終わって夜ご飯と一緒に。友達と一緒に。親戚と一緒に。
友だちや親戚が集まって日本酒を飲む中にも、そこには必ず食事がある。
人に寄り添う、食事に寄り添う日本酒を探していくうちに、石川県の日本酒が一番合っていることに気が付きました。
華々しい良い香りでスッキリと飲みやすいお酒。響きはとてもいいですし、あまり日本酒に慣れていない方にはオススメのお酒です。
しかし、こういったお酒はたいてい飲み飽きしてしまいます。だんだんと口の中にお酒の甘み、香りが邪魔してきます。
ですから、乾杯酒にはオススメですが、もう一杯、もう一杯とはなりません。
その辺、石川の地酒は比較的「濃醇」なお酒が多いです。日本酒に慣れていない方は「酒臭い」なんか感じるようなお酒が多いですが、どれだけ飲んでも飲み飽きすることはありません。
食事中も、料理の邪魔はしないけれどお酒の味もしっかりと感じられます。濃醇だからこそこのような楽しみ方が出来るのです。
ただ、石川県の日本酒の中にも、スッキリとしたお酒があります。しかし、スッキリとした中でも飲み飽きするお酒はほとんどありません。